価格がリーズナブルなものが多いドライキャットフードは主食として与えやすいものです。しかし、間違った与え方は健康を害する危険があります。本記事ではドライキャットフード のメリット・デメリットと適切な与え方をご紹介します。
ドライキャットフードのメリット
ドライキャットフードとは水分含有量が10%以下の猫用の餌です。俗に「カリカリ」と呼ばれます。まずはそのメリットをご紹介します。
一食あたりのコストが低い
一口にドライキャットフードといっても値段はピンキリですが、一袋を小分けに与えるため缶詰に詰められているウェットキャットフードよりも一食当たりのコストは低くなります。また量を調整できるため、仮に少食の猫であっても残した分を廃棄することがなくなります。
開封後の保存がきく
ドライキャットフードは前述の通り水分含有量が少ないため、開封後も常温での保管で問題ありません。ドライキャットフードの種類にもよりますが、開封してからおよそ一ヶ月程度は鮮度が保てます。
多くが総合栄養食である
ドライキャットフードは市販されているその多くが「総合栄養食」です。後に詳しく説明しますが、一言でいうと「主食向き」のキャットフードということです。
口内炎・歯周病の予防になる
ドライキャットフードは歯でよく噛んで食べなければならないので、歯磨き効果が期待できます。それにより歯周病や口内炎などの病気、口臭の予防などができます。
ドライキャットフード のデメリット
猫の食事としては一般的なドライキャットフードですが、それでもデメリットは存在します。愛猫が適切な食生活を送るためには、デメリットを踏まえておくことが重要です。
水分不足になりやすい
水分含有雨量が少ないというのはドライキャットフードのメリットであると同時にデメリットでもあります。なぜなら、猫は水分摂取を苦手とする場合が多く、餌は食べても水は飲まなかったりします。
直接水を飲むのが苦手な猫の場合、ドライキャットフードだけを与えていたのでは、脱水症状を起こしたり腎臓の疾患にかかったりする可能性があります。そのため、水分補助のためにウェットキャットフードを与える必要があります。
肥満につながりやすい
ドライキャットフードはウェットキャットフードと比べて炭水化物の含有量が多い傾向にあります。猫は炭水化物となるデンプン吸収率が犬の2.5倍以上あるといわれ、ドライキャットフードを与え過ぎてしまうと肥満となってしまいます。
嗜好性が低い
ドライキャットフードのカリカリとした食感や小粒の形状は、肉食動物である猫本来の食生活とはかなり違っていますので好まないことも多いです。いかに栄養やカロリーを適切に計算されていても、食べないのでは意味がないので、その場合はウェットキャットフードの併用を試すべきでしょう。
幼猫・老猫が食べにくい
人間と同じく、幼いあるいは年をとった猫は硬い食べ物を苦手としますので、ドライキャットフードを上手く食べられない場合もあります。その場合、水でふやかすなど一手間かけて与える必要があります。
総合栄養食とは?
先ほど少し触れた「総合栄養食」について解説いたします。キャットフードの袋や缶の成分表には「一般食」「副食」といった表記があり、その中でも猫の主食として適しているのが「総合栄養食」なのです。
キャットフードを総合栄養食として売り出すには、栄養成分の基準に合致しているかを確かめる「分析試験」と実際に猫に与えて傾向を試験する「給与試験」の二つをパスする必要があります。そのため、栄養面や成分表記の信頼性は高いと言えます。
ドライキャットフードはそのほとんどが総合栄養食で、逆にウェットキャットフードはその多くが「一般食」や「副食」です。
ドライキャットフードの与え方
ドライキャットフードは栄養価が高いため、適切な量を与えないと肥満につながってしまいます。ここでは、猫の適性体重と体重に合わせた摂取カロリーの求め方をご紹介します。
猫の適正体重
猫は生まれてからおよそ一年かけて成長して、成猫となります。つまりは一歳以降の猫の適正体重は変わりません。生まれてから一年の平均的な体重推移が以下のようなものです。
- 生後一ヶ月:約400〜500g
- 生後三ヶ月:約1.0〜1.5kg
- 生後六ヶ月:約2.5〜3.0kg
- 生後九ヶ月:約3.0〜3.5kg
- 生後一年:約3.0〜5.0kg
あくまでも平均なので、ある程度多い分には問題ありません。一年目の体重を維持するように心がけましょう。しかし、体重が6.5kgを超えてしまう場合はあきらかに肥満気味なので食生活を見直す必要があります。
猫の一日の適性摂取カロリー
続いては猫の摂取カロリーの適正値の求め方について述べます
まずは以下の計算式を用いて一日に必要なカロリーを求めます。
- 猫の体重×80=一日に必要なカロリー
例えば体重が5kgの猫の場合は5×80=400キロカロリーとなります。ドライキャットフード のカロリーは種類により様々ですが、平均的な100gあたり350キロカロリーのフードとした場合は以下のように計算します。
400÷350=1.1428…
つまりおよそ114gの量が適切ということです。あとは間食を含む食事の回数分で割れば、一食あたりに適切な量も算出できます。
グレインフリーを勧める理由
補足になりますが、猫の主食にはグレインフリー(穀物不使用)のドライキャットフードがオススメです。一般的なドライキャットフードは穀類を多く使用している傾向がありますが、猫は本来は肉食なので小麦粉や米の消化を苦手としています。
そのため、穀物にアレルギーを起こしたり消化不良で消化器官系の病気を患ってしまうことがあります。多少割高ではありますがグレインフリーは消化に良いだけでなく、炭水化物の量も少ないので肥満防止にもつながります。
ドライキャットフードとウェットキャットフードの併用
基本的にはドライキャットフードと水だけで猫に必要な栄養は十分に賄えます。しかし、前述した水分不足や嗜好性の低さのせいで猫があまりドライキャットフードを食べてくれなかった場合は、補助的にウェットキャットフードを与える必要もあります。
併用する場合は主に二つの方法があります。
- 「ドライキャットフードにウェットキャットフードをトッピング」
- 「主食はドライキャットフード、間食にウェットキャットフード」
以上二つのうち猫が食べやすい方で構いません。
ただし、きちんとカロリーは計算しておきましょう。トッピングの場合は前述の計算方法を用いてドライ・ウェット併せた適正カロリーを求め、間食は一日に必要なカロリーの20%程度に抑えるようにするのが良いです。
まとめ
ドライキャットフードは猫の主食として適していて、値段もリーズナブルなものが多いですが、決して何も考えずに与えて良いものではありません。
間違ったドライキャットフードの与え方は、肥満や水分不足を招いてしまう可能性もあります。栄養に考慮した適切な量を与えて、愛猫が健康な生活を送れるようにきちんと知識を仕入れておくことが重要です。